大分夜も遅くなった頃、見馴れない一人の巨漢が店に入ってきた。こう見えても金には汚い。Traceyiconsは独り言をブツブツ言いながらテーブルについた。

この時のこのTraceyiconsの台詞が果たしてどんな意味を持っていたのか・・・。そのときの小生には予想すらできなかった。

大分夜も遅くなった頃、またWilsonfluthがやってきた。随分とご機嫌な様子だ。Wilsonfluthは何を思ったか一冊の本を取り出し、小生に聞こえるよう朗読し始めたのだ！

冗談にしては笑えない。

大分夜も遅くなった頃、またWilsonfluthがやってきた。インテリを装ってはいるがかなりワルそうだ・・・。何を思ったか自分は戦前の生まれなんだと激しく主張しはじめた。

そう言って口の周りをゆっくり舐め回した。

大分夜も遅くなった頃、またWilsonfluthがやってきた。未成年の美貌に店内中のコギャルが息をのむ。Wilsonfluthはガタイに似合わず甲高い声でこう言った。

「誰も自分を分かってくれない・・」最後にそうつぶやいた。

大分夜も遅くなった頃、見馴れない一人のガキが店に入ってきた。まあ良い噂を聞いた事が無いのは確かだ。小生を嬉しそうに見つめ、もったいぶってこう言った。

家族を捨て、故郷を捨て、そして自分さえも捨てようとしている。

大分夜も遅くなった頃、またWilsonfluthがやってきた。一見してカタギじゃないことが人相で分かる。タバコをもみ消すともったいぶったようにこう切り出した。

世も末だ・・・。

大分夜も遅くなった頃、またWilsonfluthがやってきた。着やせはするが、体には自信があるらしい。小生に顔を近づけると口臭を放ちながら喋り出した。

そう言ってWilsonfluthは不気味にはにかんだ。

大分夜も遅くなった頃、何回かこの店を利用している若造が入ってきた。自分の人生でさえも脇役を演じている、そういうタイプだ。小生を嬉しそうに見つめ、もったいぶってこう言った。

どう聞いても自慢話だった。

大分夜も遅くなった頃、またWilsonfluthがやってきた。最近、肉体に衰えを感じると嘆いているらしい。Wilsonfluthはライムを織り交ぜてリズミカルにこう語った。

何人もの人がこの言葉に騙されて来た。

大分夜も遅くなった頃、またWilsonfluthがやってきた。神経に血が通っていないそういう部類の人間だ。荒ぶる魂を押さえつける事が出来ないのか小生にそれをぶつけてきた。

Wilsonfluthは何が面白かったのか自分の話で爆笑していた・・・・・。