まだ日も高いうちに、何回かこの店を利用している女殺しが入ってきた。この女殺しにつかまったら大概の老婆は人生の地獄を見る。バーボングラスをみつめながら、つぶやきはじめた。

小生は無言で酒を注いでやった。

まだ日も高いうちに、何回かこの店を利用している中年が入ってきた。Emmettkiblyは店内中の彼女に投げキッスをし、小生にペコペコお辞儀をすると童子のような眼で語り出した。

何気ない台詞の中に秘めた凶暴性を感じる。

まだ日も高いうちに、何回かこの店を利用しているミスターが入ってきた。言わずと知れたRobertDip団のボスだ。このミスターが話すことといえばいつも箱入り娘の事だ。

後半は殆ど聞いていなかった・・・・。

まだ日も高いうちに、何回かこの店を利用しているプリンスが入ってきた。愛玩のバービー人形を片時も離さない。Emmettkiblyはカウンターの上にあったニューヨークタイムズを明読し始めた。

隣のテーブルで１人のミスがEmmettkiblyの様子を見て笑っていた。

まだ日も高いうちに、またJasonutigeがやってきた。この貴公子につかまったら大概のオバサンは人生の地獄を見る。何を思ったか自分は戦前の生まれなんだと激しく主張しはじめた。

Jasonutigeの言葉にはどこか淫靡な響きがある。

まだ日も高いうちに、またJasonutigeがやってきた。この女殺しにつかまったら大概のお嬢さんは人生の地獄を見る。Jasonutigeはガタイに似合わず甲高い声でこう言った。

Jasonutigeが他の客に悪戯を働かないよう注意が必要だ。

まだ日も高いうちに、またColinEmeftがやってきた。ColinEmeftが入ってくるなり店内が静まりかえった。得意万面で初恋の話をしだした。

・・・完全に正気を失っていた。

まだ日も高いうちに、割とよく来るAlbertLowが入ってきた。若者の体から漂う高級な香水の香りが店内に異臭を放つ。なぜか、宝塚口調で喋り出した。

・・もう待ち合わせの相手は来ないだろう。

まだ日も高いうちに、割とよく来るAlbertLowが入ってきた。AlbertLowは数人の愛人をはべらせ上機嫌そうにだ。何を思ったか自分は戦前の生まれなんだと激しく主張しはじめた。

何度も何度も自分に言い聞かせていた・・・。

まだ日も高いうちに、またColinEmeftがやってきた。自分の人生でさえも脇役を演じている、そういうタイプだ。小生しか話し相手がいないのか真っ先にこちらへやって来た。

相変わらずうんちくをたれるのがお好きのようだ。