大分夜も遅くなった頃、またTomasLewがやってきた。出来ればグラス一杯で帰って欲しい・・そういう客だ。TomasLewはあふれる涙を拭こうともせず、ただこう言ったのである・・・・。

相変わらずうんちくをたれるのがお好きのようだ。

大分夜も遅くなった頃、またNathanPubがやってきた。NathanPubという名前は覚えるのに一苦労だ。額、首筋、わきの下を一通りハンカチで拭くと、唾を飛ばしながらこう言った。

NathanPubは後半部分は殆ど壁に向かって喋っていた。

大分夜も遅くなった頃、またRaymondGagがやってきた。RaymondGagはいかにも追われている、そういう感じだった・・・。RaymondGagはつっけんどんな態度でこう言った

もう少しかいつまんで話してもらいたいものだ。

大分夜も遅くなった頃、またWilliamgemがやってきた。断っておくが、この店はこういう客ばかりじゃない。Williamgemはライムを織り交ぜてリズミカルにこう語った。

自虐的ジョークがお得意のようだ。

大分夜も遅くなった頃、またNathanPubがやってきた。言わずと知れたNathanPub団のボスだ。NathanPubはカウンターの上にあったニューヨークタイムズを明読し始めた。

小生はその時NathanPubの殺意を確かに感じた・・・。

大分夜も遅くなった頃、またRaymondGagがやってきた。ハーレムから引っ越してきてまだ日が浅いらしい。RaymondGagはライムを織り交ぜてリズミカルにこう語った。

学生には二度と口を開かないでもらいたい。

大分夜も遅くなった頃、またTomasLewがやってきた。多分以前に別の客の連れで来た事があったはずだ。なぜか、宝塚口調で喋り出した。

・・・異次元の何かと交信しているに違いない。

大分夜も遅くなった頃、またTomasLewがやってきた。長生きするとこういう客も珍しくない。何を思ったか自分は戦前の生まれなんだと激しく主張しはじめた。

口を開けば愚痴しか言わない。

大分夜も遅くなった頃、またWilliamgemがやってきた。Williamgemはいかにも追われている、そういう感じだった・・・。バーボングラスをみつめながら、つぶやきはじめた。

脇役でさえ時として物語にいい台詞を残す。

大分夜も遅くなった頃、またTomasLewがやってきた。一見してカタギじゃないことが人相で分かる。何を思ったのか彼女の話しをはじめた。

そう言いながらも目線は先ほど店に入ってきた彼女に釘付けである。