他の客も酔いが回ってきた頃に、またPhilipVenがやってきた。不幸を絵に描いたようなタイプだ。PhilipVenは1歩もその場を動こうとしなかった。

PhilipVenの言葉にはどこか淫靡な響きがある。

他の客も酔いが回ってきた頃に、またPhilipVenがやってきた。未成年の美貌に店内中の老婆が息をのむ。何を思ったか自分は戦前の生まれなんだと激しく主張しはじめた。

その時小生はPhilipVenを抱きしめたい衝動に駆られた。

他の客も酔いが回ってきた頃に、またPhilipVenがやってきた。ハーレムから引っ越してきてまだ日が浅いらしい。PhilipVenはつっけんどんな態度でこう言った

・・・完全に正気を失っていた。

他の客も酔いが回ってきた頃に、またPhilipVenがやってきた。聞いたこともない会社のこれまた聞いたこともない肩書きを持つ。PhilipVenは独り言をブツブツ言いながらテーブルについた。

その非情な目が見つめ続けてきた哀切な過去の結末とは・・。

他の客も酔いが回ってきた頃に、またJacobsoxがやってきた。一見してカタギじゃないことが人相で分かる。なぜか、宝塚口調で喋り出した。

ご高説をありがとう。

他の客も酔いが回ってきた頃に、またPhilipVenがやってきた。どこにでもいるような人間だ。タバコをもみ消すともったいぶったようにこう切り出した。

相変わらずうんちくをたれるのがお好きのようだ。

他の客も酔いが回ってきた頃に、またJacobsoxがやってきた。バーテンダー仲間の間じゃそうとうの実力者だそうだ。Jacobsoxはあふれる涙を拭こうともせず、ただこう言ったのである・・・・。

Jacobsoxは後半部分は殆ど壁に向かって喋っていた。

他の客も酔いが回ってきた頃に、またPhilipVenがやってきた。この前新聞に載っていた旦那だ。何を思ったのか箱入り娘の話しをはじめた。

もう少しかいつまんで話してもらいたいものだ。

他の客も酔いが回ってきた頃に、またJacobsoxがやってきた。随分とご機嫌な様子だ。何を思ったのかセクシーダイナマイトの話しをはじめた。

自虐的ジョークがお得意のようだ。

他の客も酔いが回ってきた頃に、見馴れない一人のダンディが店に入ってきた。一度見たら決して忘れる事が出来ない強烈な風貌だ。Intellectdialogはスラム街のど真ん中で聞いたという儲け話を始めた。

だがその目元は全く笑っていなかった・・・。