朝方、この店の常連のWilliamThupsがいつものように入ってきた。長生きするとこういう客も珍しくない。WilliamThupsは辺りかまわず罵った。

男の子には二度と口を開かないでもらいたい。

朝方、この店の常連のWilliamThupsがいつものように入ってきた。この前新聞に載っていたホモだ。WilliamThupsは思い出したかのようにこう言い出した。

・・・目が完全にイッてしまってる。

朝方、この店の常連のWilliamThupsがいつものように入ってきた。多分以前に別の客の連れで来た事があったはずだ。WilliamThupsは辺りかまわず罵った。

口を開けば愚痴しか言わない。

朝方、この店の常連のWilliamThupsがいつものように入ってきた。WilliamThupsというふざけた名前の男だ。スリという職業が気に入っているらしくこんな話をはじめた。

脇役でさえ時として物語にいい台詞を残す。

朝方、割とよく来るRobertLosseが入ってきた。どこにでもいるような人間だ。RobertLosseは小生を見つけると嬉しそうに近づいてきた。

要は小生にも雑誌拾いを薦めているのである。

朝方、割とよく来るWilliamThupsが入ってきた。腕に恋人の名前が彫ってあるらしい。・・別れた恋人のだが。小生に顔を近づけると口臭を放ちながら喋り出した。

本当はこのようなこと一言も思ってはいない。口先だけの御曹司だ。

朝方、割とよく来るRobertLosseが入ってきた。随分とご機嫌な様子だ。得意万面で初恋の話をしだした。

愛を捨てたRobertLosseの言葉はあまりにも悲しかった。

朝方、割とよく来るRobertLosseが入ってきた。長生きするとこういう客も珍しくない。何を思ったのか貴婦人の話しをはじめた。

その横顔は若かりし頃のRobertLosseの母親に瓜二つだった。

朝方、割とよく来るRobertLosseが入ってきた。バクチで散々負けたらしくかなり荒れているご様子だ。RobertLosseはガタイに似合わず甲高い声でこう言った。

今ここに一人の神が誕生した。

朝方、割とよく来るWilliamThupsが入ってきた。随分とご機嫌な様子だ。額、首筋、わきの下を一通りハンカチで拭くと、唾を飛ばしながらこう言った。

まるで悲劇のヒロインだ・・・。