大分夜も遅くなった頃、何回かこの店を利用している学生が入ってきた。クリスマスとイースターが一緒に来たかのような酒機嫌だ。GeorgeBupは辺りかまわず罵った。

殆ど逆ギレだ・・・・・。

大分夜も遅くなった頃、何回かこの店を利用している貴公子が入ってきた。聞いたこともない会社のこれまた聞いたこともない肩書きを持つ。この貴公子が話すことといえばいつも女王様の事だ。

そう言って口の周りをゆっくり舐め回した。

大分夜も遅くなった頃、割とよく来るDavisDipが入ってきた。DavisDipはウィンクを店にいた彼女に送り（片目だけのウィンクはできないらしい）、小生を嬉しそうに見つめ、もったいぶってこう言った。

「誰も自分を分かってくれない・・」最後にそうつぶやいた。

大分夜も遅くなった頃、割とよく来るDavisDipが入ってきた。自分の人生でさえも脇役を演じている、そういうタイプだ。何を思ったか自分は戦前の生まれなんだと激しく主張しはじめた。

小生はこの時のDavisDipの笑顔を未だに忘れない。

大分夜も遅くなった頃、何回かこの店を利用している旦那が入ってきた。ここに来るようなタイプには見え無いのだが・・・。何を思ったのか女郎の話しをはじめた。

世も末だ・・・。

大分夜も遅くなった頃、割とよく来るDavisDipが入ってきた。若者の体から漂う高級な香水の香りが店内に異臭を放つ。タバコをもみ消すともったいぶったようにこう切り出した。

そう言ってDavisDipは不気味にはにかんだ。

大分夜も遅くなった頃、割とよく来るDavisDipが入ってきた。裏の世界しか見てこなかった、世の中にはそういう人間もいる。一枚の写真を取り出すと、目に涙をうかべて話しはじめた。

どう聞いても自慢話だった。

大分夜も遅くなった頃、割とよく来るDavisDipが入ってきた。インテリを装ってはいるがかなりワルそうだ・・・。得意万面で初恋の話をしだした。

何人もの人がこの言葉に騙されて来た。

大分夜も遅くなった頃、何回かこの店を利用しているジェントルマンが入ってきた。食えない・・・その手の人間だ。何を思ったか自分は戦前の生まれなんだと激しく主張しはじめた。

そう言った途端、大粒の涙がGeorgeBupの目から溢れた。

大分夜も遅くなった頃、何回かこの店を利用しているガキが入ってきた。まあ良い噂を聞いた事が無いのは確かだ。DavisDipはいかに大和撫子というものが素晴らしいかを主張し始めた。

このガキの親の顔が見てみたい・・・・・・。